万葉集にも詠われた「吉備の国」岡山の『吉備の酒』
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米と麹の甘酒がおいしくて免疫力アップに効果的と人気です。

甘酒の基礎知識

甘酒の基礎知識

まず、はじめに「甘酒」と呼ばれているものには、米と麹から作った「米麹こうじ甘酒」と、酒粕に砂糖などを加えてお湯でといた「酒粕甘酒」の2種類があることをご理解下さい。
これらは全く別物であり、その成分や効能も異なるため、今回の特集記事では「米と麹で作った甘酒」を中心として取り上げます

「甘酒」(あまざけ)とは、簡単に言えば「もちごめのおかゆに麹(こうじ)をまぜ、発酵させて作った甘い飲物」です。

甘酒(あまざけ、カンシュ、「醴(こざけ)」ともよばれます)は、日本の伝統的な甘味飲料の一種で、見た目はどぶろくのように、お米の粒が残って白濁しています。
「甘酒(あまざけ)」には、「酒」という名がつくもののアルコール分はほとんど無く、甘粥(あまがゆ)とも呼ばれます。

米麹と酒粕

「あまざけ」はなぜ甘い?

砂糖を加えずに、米と麹しか使っていないはずの甘酒は、どうして甘くなるのでしょう?

その秘密は、お米が元々持っている成分と、麹菌が持っている酵素(アミラーゼ)の働きにあります。

お米をそのまま舐めても甘いとは感じないかもしれません。それは人間の舌がでんぷん質であるお米の味をそのまま感じられるほど鋭くないからです。

麹菌は、酵素を出してでんぷん質をブドウ糖に分解します。細かく分解されたブドウ糖は人が甘く感じることができるサイズとなり、あま~い甘酒の出来上がりとなります。

食物を細かく分解することで、甘みを感じられるようになるだけではなく、人間が「食べものを消化酵素を出して細かく分解し、その栄養を吸収」している事を考えると、食べる前にすでに分解されている甘酒の栄養が吸収されやすいのも当然といえるでしょう。

あまざけの製法

原料は、米こうじと米、そして水だけです。

米と水で粥を作り、50 – 60°C程度に保温した状態で米こうじを加えて撹拌し、1晩程度かけて発酵を待ちます。すると、コウジカビの酵素(アミラーゼ)によってお米のデンプンを糖化され、甘い「あまざけ」ができあがります。

この糖化の過程では、コウジカビのアミラーゼによる糖化のほか、プロテアーゼによるタンパク質のアミノ酸への分解や、場合によっては混入乳酸菌による乳酸発酵も進行します。ここでの温度管理により、正しく糖化が進むようにしなければ、アルコール発酵が始まってしまったり、雑菌の繁殖や乳酸発酵が進行しすぎて風味が損なわれることになりますので慎重に管理します。
酒蔵で作る甘酒は、「空気」「水」「温度」など、麹菌が正しく活動するための環境で熟練の職人による管理が行われています。

また、磯千鳥酒造の「酒屋が造った甘酒」で使うのは、日本酒の仕込みに使っているのと同じ地元の名水です。
日本酒と同様に水の違いが甘酒の味の違いになります。

あまざけと日本人の生活

甘酒(あまざけ)の起源と言われているのは、古墳時代にまで遡り『日本書紀』の中に登場する天甜酒(あまのたむざけ)が、甘酒の始まりとされています。一晩発酵させて作ることから、「一夜酒(ひとよざけ)」または「醴酒(こさけ、こざけ(「濃い酒」の意))」と呼ばれています。

昔から、甘酒は栄養豊富で滋養強壮効果があるとみなされていたため、体力回復に効果的ないわば「夏の栄養ドリンク」として愛されていました。「甘い・甘い・あ~ま~ざ~け~」の文句で町をまわる「あまざけ売り」も多くいたそうで、江戸時代には夏の風物詩だったと言われます。今でも俳句の世界では「甘酒」は夏の季語となっています。

『守貞漫稿』には、「夏月専ら売り巡るもの」が「甘酒売り」と書かれており、非常に人気がある飲み物であったことがうかがえます。当時の江戸幕府は庶民の健康を守るため、老若男女問わず購入できるよう甘酒の価格を最高で4文に制限しており、武士の内職としても甘酒造りが行われていたそうです。

今では、むしろ正月に神社などが参拝客に甘酒を振る舞ったり、歴史のある観光地のお茶屋さんで「あまざけを一服」という「冬に温かい甘酒」という楽しみ方も広がっているほか、夏の暑い時期にはあえて「冷やしあまざけ」として提供しているお茶屋さんも多いですね。

また、雛祭りに「あまざけ」を連想される方も多いかと思います。
ひなまつりはいうまでもなく女の子のための行事であり、我が子の健やかな成長を願う厄払いの儀式と女の子の人形遊びが結びついた行事だと言われています。この厄払いの儀式の中で、汚れ(けがれ)を洗い流すために白酒を飲んだという説があります。この儀式はもともと中国で行われており、中国では桃香酒という桃の香りのする酒が飲まれていたようですが、当時の日本では桃香酒を白酒と呼んでいた事から、いつしか現在の白酒となったという説があります。

ただ、白酒はアルコール度が10度程度ある「お酒」ですので、主役である子供たちもいっしょに飲めて、比較的安価で一般庶民にとってもなじみがある、見た目のよく似た「あまざけ」が用意されるようになったと言われています。



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